【利益準備金】と【資本準備金】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

利益準備金と資本準備金の違い難易度 2

利益準備金と資本準備金の分かりやすい違い

利益準備金と資本準備金は、ともに企業が積立てる準備金ですが、その目的と積立方法が異なります。

利益準備金は、会社法の規定に基づき、株主への配当などに備えて、毎期の利益から積み立てる準備金です。一方、資本準備金は、株式発行の際の払込金額のうち、資本金に組み入れない部分を積み立てる準備金です。つまり、利益準備金が利益を原資とするのに対し、資本準備金は資本取引を原資とするのです。また、利益準備金には上限が定められているのに対し、資本準備金には上限がありません。

利益準備金と資本準備金は、ともに企業の財務健全性を示す指標ですが、利益準備金は配当可能利益の確保に、資本準備金は資本の充実に寄与する点が異なります。

利益準備金とは?

利益準備金とは、会社法の規定に基づき、株主への配当などに備えて、毎期の利益から積み立てる準備金です。具体的には、資本金の25%に達するまで、毎期の利益の10%以上を積み立てることが義務付けられています。

利益準備金は、株主への配当や、欠損填補に充てることができます。ただし、利益準備金を取り崩して配当に充てる場合は、株主総会の決議が必要です。利益準備金は、企業の財務健全性を示す指標の一つであり、利益準備金が多いほど、配当可能利益が確保されていると言えます。また、利益準備金は、企業の安定性や継続性を重視する姿勢を示すものでもあります。一方で、利益準備金の積立ては、企業の資金効率を低下させる側面もあります。

優良企業は、利益準備金の適切な管理と、事業への効果的な投資のバランスを取ることが求められます。

利益準備金の例文

  • (1) 当期の利益の10%を利益準備金として積み立てることを決定した。
  • (2) 利益準備金の残高が資本金の25%に達したため、追加の積立ては不要となった。
  • (3) 利益準備金を取り崩し、株主への配当原資の一部に充てることが株主総会で承認された。
  • (4) 利益準備金の残高が潤沢なことから、財務の安定性が高いと評価された。
  • (5) 利益準備金の積立額が前期比で増加し、企業の配当方針が重視されていることが示された。
  • (6) 利益準備金の適切な管理と、事業投資とのバランスが経営課題として認識された。

利益準備金の会話例

今期の利益準備金の積立額はどの程度になりそうですか?
利益が好調なため、前期比で積立額が増加する見込みです。配当可能利益の確保という観点から、積極的な積立が望ましいと考えています。
利益準備金の残高が資本金の25%に達しました。今後の方針は?
法定の積立義務は果たしましたが、財務の安定性を重視する観点から、任意の積立を継続したいと考えています。ただし、事業投資とのバランスも考慮する必要がありますね。
利益準備金を取り崩して、配当原資に充てることを提案したいのですが。
利益準備金の取崩は、株主総会の決議が必要です。配当方針の変更につながる重要な判断なので、取締役会で十分に議論した上で、株主の理解を得ることが大切ですね。

資本準備金とは?

資本準備金とは、株式発行の際の払込金額のうち、資本金に組み入れない部分を積み立てる準備金です。具体的には、株式の発行価額が額面金額を超える場合、その超過部分を資本準備金として積み立てます。

資本準備金は、資本金と同様に資本取引を原資とするため、利益準備金とは性質が異なります。資本準備金は、企業の資本の充実を示す指標の一つであり、資本準備金が多いほど、財務基盤が強固であると言えます。また、資本準備金は、資本金との合計額が資本金の2倍以上である場合、株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。一方で、資本準備金を取り崩して配当に充てることはできません。

資本準備金は、企業の長期的な成長を支える重要な財務的基盤であり、適切な管理が求められます。

資本準備金の例文

  • (1) 株式発行の際、払込金額の超過部分を資本準備金として積み立てた。
  • (2) 資本準備金の残高が資本金の1.5倍に達し、財務基盤の強化が示された。
  • (3) 資本準備金を資本金に組み入れ、資本金の増強を図ることが株主総会で承認された。
  • (4) 資本準備金の残高が潤沢なことから、長期的な成長投資への備えが万全であると評価された。
  • (5) 資本準備金の積立額が前期比で増加し、企業の成長戦略が重視されていることが示された。
  • (6) 資本準備金の適切な管理と、事業投資とのバランスが経営課題として認識された。

資本準備金の会話例

今回の株式発行で、資本準備金はどの程度積み立てられる予定ですか?
発行価額が額面金額を大きく上回っているため、相当額が資本準備金として積み立てられる見込みです。財務基盤の強化につながる重要な機会だと捉えています。
資本準備金を資本金に組み入れることを検討しています。メリットは?
資本金の増強により、企業の信用力や対外的なイメージの向上が期待できます。ただし、株主総会の決議が必要ですし、資本政策全体の中で、慎重に判断する必要がありますね。
資本準備金を取り崩して、配当原資に充てることは可能でしょうか?
資本準備金は、資本取引を原資とする準備金なので、配当に充てることはできません。配当原資は、利益準備金や繰越利益剰余金などの利益性の資金から捻出する必要があります。

利益準備金と資本準備金の違いまとめ

利益準備金と資本準備金は、ともに企業が積立てる準備金ですが、その目的と積立方法が異なります。

利益準備金は、会社法の規定に基づき、株主への配当などに備えて、毎期の利益から積み立てる準備金であり、配当可能利益の確保に寄与します。一方、資本準備金は、株式発行の際の払込金額のうち、資本金に組み入れない部分を積み立てる準備金であり、資本の充実に寄与します。利益準備金が利益を原資とするのに対し、資本準備金は資本取引を原資とする点も大きな違いです。また、利益準備金には上限が定められているのに対し、資本準備金には上限がありません。

両者は、企業の財務健全性を示す重要な指標ですが、その役割と性質は異なるため、適切な管理と運用が求められます。

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